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宣べ伝える者,宣べ伝える業聖書に対する洞察,第2巻
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ヘブライ語聖書における宣べ伝える業 ノアは「伝道者」と呼ばれている最初の人です。(ペテ二 2:5)もっとも,それ以前にエノクが行なった預言も,宣べ伝える業によって知らされていたのかもしれません。(ユダ 14,15)人々が『注意しなかった』と述べるイエスの言葉からも明らかなように,ノアが大洪水の前に義を宣べ伝えたことには,悔い改めるようにという呼びかけと来たるべき滅びに関する警告が含まれていたようです。(マタ 24:38,39)ですから本質的に,ノアが神から正式に認可されて行なった公の宣言は,良いたよりをもたらすことではありませんでした。
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世,世界聖書に対する洞察,第2巻
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神から疎外された世 コスモスの聖書独特の用法は,その語によって神の僕たち以外の人間の世を表わしている点に見られます。ペテロは神が「不敬虔な人々の世に」大洪水をもたらす一方,ノアとその家族を保護されたと書いています。そのようにして,「その時の世は,大洪水に覆われた時に滅びを被った」のです。(ペテ二 2:5; 3:6)ここでも,言及されているのが地球や宇宙の天体の滅びではないことに注目できるでしょう。むしろ,その語は人間の領域,つまりこの場合には不義の人間社会に限定されています。ノアがその忠実な歩みによって罪に定めたのはその「世」でした。―ヘブ 11:7。
大洪水以前の不義の世,つまりそのときの人間社会は終わりましたが,人類そのものは終わったわけではなく,ノアとその家族という形で存続しました。大洪水後,人類の大多数はまたも義からそれ,再び邪悪な人間社会を形成しました。それでも,義に付き従って別の歩み方をする人々がいました。やがて神はイスラエルをご自分の選んだ民として指定し,彼らをご自分との契約関係に入れられました。イスラエル人はこうして一般の世と区別されたため,パウロはローマ 11章12-15節(新世,欽定)でコスモスつまり「世」を,イスラエル人ではない「諸国の人たち」すなわち「異邦人」の同義語として用いることができました。パウロはそこで,イスラエルが背教したために神が彼らとの契約関係を解除するという事態になり,その結果,異邦人が神と和解してそのような関係とそれに伴う富にあずかる道が開かれたことを指摘しています。(エフェ 2:11-13と比較。)したがって,大洪水後の,そしてキリスト教以前の時代のコスモスつまり「世」も,やはり神の是認された僕たち以外の全人類を表わしており,特にイスラエルがエホバとの契約関係にあった時代のイスラエル以外の人々を表わしていたことになります。―ヘブ 11:38と比較。
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