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色聖書に対する洞察,第1巻
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キリストの外とう イエス・キリストが処刑される日に着せられた外とうの色のことで,一部の人々はその衣に関する聖書の記録に矛盾があると論じてきました。マタイは兵士たちがイエスに『緋色の外とうを掛けた』と述べていますが(マタ 27:28),マルコとヨハネはその色を紫としています。(マル 15:17; ヨハ 19:2)しかし,その衣の色を説明する仕方のそのような相違は矛盾ではなく,福音書筆者の個性の違いや筆者間に共謀のなかったことを証明しているにすぎません。マタイはその外とうのことを自分の目に映った通りに,つまり色彩に関する自分の評価にしたがって説明し,その衣の赤の色合いを強調したのです。ヨハネとマルコはその赤い色合いを控えめに感じ取り,それを紫としました。「紫」は青と赤の両方の要素を持つどんな色にも当てはまります。したがって,衣はある程度赤いものであったという点で,マルコとヨハネはマタイと一致しています。言うまでもなく,背景や光の反射によって色合いは違ってきたことでしょう。時間が異なれば,1か所にある水の色は空の特定の色や,ある特定の時間の光の反射の仕方によって違ってきます。それで,こうした要素を考慮すると,ローマの兵士たちがあざけりながら,人間としての生涯の最後の日にキリストに着せた外とうの色を描写するに際して,福音書筆者の間に食い違いのなかったことが分かります。
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