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鷲聖書に対する洞察,第2巻
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多くの学者たちが鷲よりもハゲワシに当てはまると見ているもう一つの聖句は,ミカ 1章16節です。そこでは,比喩的な意味でイスラエルが『そのはげを広くして鷲のようにする』ということが述べられています。鷲の頭には羽毛がたくさん生えています。北アメリカのハクトウワシ(英語,bald eagle)も,“bald”(はげ)と呼ばれているのは,頭の羽毛が白いため遠くから見るとはげているように見えるからです。今なおイスラエルで見かけられるシロエリハゲワシ(Gyps fulvus)は,頭の上に柔らかい白い綿毛が幾らか生えているだけで,首には羽毛がまばらにしかありません。もしこの句がそれに当てはまるとすれば,これはヘブライ語ネシェルが鷲のみならずもっと広く適用されることを示すものとなります。注目できるのは,鳥類学者たちがシロエリハゲワシを鷲と同じ「種」または「属」のものとしては分類していないものの,同じ「科」(Accipitridae)に属するものとみなしていることです。しかし中には,ミカ 1章16節は鷲の経験する換羽のことを述べていると考える人もいます。もっとも,これは漸進的な,どちらかと言えば目立たない過程であると言われています。この生え変わる過程によって活動量や強さは幾らか減少しますが,その後また新たにされて普通の生活に戻ります。人の若さが「鷲のように絶えず新たにされる」という詩編作者の言葉は,そうしたことを意味していたのかもしれません。(詩 103:5)ほかに,この句は鷲の比較的長い寿命のことを言っている,と見る人もいます。鷲の中には80年生きることで知られているものもあるからです。
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