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フェニキア聖書に対する洞察,第2巻
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美術と工芸 フェニキアの金属細工人は,金や銀のものを鋳たり,鍛造したり,彫り込んだりするのに熟達していました。木や象牙を彫ったり,ガラスの器を作ったり,羊毛や亜麻を織ったり,布を染めたりすることを専門とする工匠たちもいました。フェニキアは特に紫の染色産業で有名でした。青みがかった濃い紫色つまりティルス紫の長い衣は最も高い値で売れました。というのは,ムレクス属の貝からは,一個につき一滴の染料しか採れないので,布を数メートル染めるのに幾千もの貝が必要だったからです。この染料は,貝が地中海沿岸のどこで見つけられたかによって色合いが異なりました。これに加えて,しばしば二重あるいは三重の染色工程を用いたフェニキアの染め物師たちの特殊な技術により,高位の人や貴族の欲しがる多様で高価な織物ができました。―エゼ 27:2,7,24。
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船聖書に対する洞察,第2巻
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フェニキア人 預言者エゼキエルはティルス市を美しい船として描いた際(27:3-7),フェニキアの船について説明していると思われる詳細な情報を記しました。その船には,ねずの木の丈夫な厚板,レバノンの杉でできた一本マスト,またカシと思われるバシャンの「巨木」でできたかいが付いていました。船首は恐らく高い位置にあってカーブしており,象牙をはめたいとすぎ材でできていました。帆は色のついたエジプトの亜麻布で,甲板の覆い(恐らく,日陰を作るための甲板上の天幕のこと)は染めた羊毛でした。船の継ぎ目には,まいはだが詰められていました。(エゼ 27:27)フェニキア人は熟練した水夫で,地中海沿岸域で広範囲にわたって交易を営み,タルシシュ(多分,スペイン)まで行くことさえありました。「タルシシュの船」という語は,この遠隔地と交易をする際にフェニキア人たちが用いたタイプの船,つまり大航海ができるような耐航性のある船舶を意味するようになったと考える人もいます。(王一 22:48; 詩 48:7; イザ 2:16; エゼ 27:25)ヨナはこのタイプの船に乗って逃げたのかもしれません。それには甲板があって,船倉に積み荷や乗客のためのスペースがありました。―ヨナ 1:3,5。
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