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ベヘモト聖書に対する洞察,第2巻
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ベヘモト
(Behemoth)
ヨブ 40章15節に出て来る「ベヘモト」という名称については,(1)「水牛」を指すエジプトの言葉から派生した語,(2)「怪物」を意味する,恐らくアッシリアに起源を有する語,(3)「大きな獣」もしくは「巨大な獣」を意味すると理解されているヘブライ語ベヘーマー(獣; 家畜)の強意の複数形などと,様々な見方がなされてきました。ギリシャ語セプトゥアギンタ訳では,ヘブライ語ベヘーモートはテーリア(野獣)という語に翻訳されています。しかし,この語はただ一つの動物を意味しているようです。そのことは,ベヘモトに関する描写が幾つかの生き物にではなく,ただ一つの生き物に当てはまるという事実に示唆されており,それは一般にはカバ(Hippopotamus amphibius)と考えられています。実際,多くの聖書翻訳(聖ア,ラムサ,ロザハム,新世,エルサレム,改標)は,本文もしくは脚注で「かば」という語を用い,神が言及しておられた生き物が何かを明らかにしています。
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ベヘモト聖書に対する洞察,第2巻
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ヨブ 40章の描写は,この巨大な哺乳動物ベヘモトを生き生きとした言葉で描いています。それは草食であると説明されています。(15節)膨大な力とエネルギーの源は腰,また腹の腱,すなわち背中と腹の筋肉にあると言われています。(16節)ベヘモトの尾は杉のようです。カバの尾は長さ約46から51㌢とかなり短いので,この言葉は,この動物が太い尾を木のようにぴんと立てたり揺り動かしたりできるという意味に理解すべきものと思われます。「その股の筋は絡み合って」おり,その股の筋肉の繊維と腱が強力なケーブルのようにより合わせられています。(17節)足の骨は「銅の管」のように強いので,重い体重を支えることができます。骨とあばら骨は打って造った鉄の棒のようです。(18節)ベヘモトが大量に食物を消費することにも遠回しに言及されており(20節),とげのあるロータスの木の下で休んだり,湿地の中のポプラの陰に隠れたりすることについても言及されています。(21,22節)川が氾濫しても,この生き物は慌てません。水面の上に頭を出しておくことができ,洪水の力に逆らって泳ぐことができるからです。(23節)エホバはヨブにこう尋ねました。『ベヘモトはこれほど強く,恐ろしいまでの装備を整えているので,人間には,その目の前に立ちはだかろうとする,また鉤でその鼻を突き通そうとするたくましさがあるだろうか』― 24節。
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