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エデン聖書に対する洞察,第1巻
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エデンの位置 エデンの園がもともとどこにあったかについては推定の域を出ません。その地理上の位置を見極めるおもな手がかりは,川が「エデンから発して」,その後四つの「頭」に分かれ,ユーフラテス,ヒデケル,ピションおよびギホンという名の川を生じさせていたという聖書の記述です。(創 2:10-14)ユーフラテス川(ヘ語,ペラート)はよく知られており,「ヒデケル」は古代の碑文の中でチグリス川に対して使われている名称です。(また,ダニ 10:4と比較。)しかし,他の二つの川,すなわちピションとギホンは確認されていません。―「クシュ」2項; 「ハビラ」1項を参照。
カルビンやデリッチなど一部の人々は,下部メソポタミアのペルシャ湾の湾頭付近,チグリス川とユーフラテス川の接近する辺りのどこかがエデンの位置ではないかと論じてきました。そうした人々は,ピションとギホンをこの二つの川の間を結ぶ運河と関係づけてきました。しかし,そうなると,これらの川は一つの源から分かれ出る分流ではなく,本流に注ぎ込む流れであることになります。むしろ,ヘブライ語の本文は,メソポタミア平原の北にある山岳地帯,すなわちユーフラテス川とチグリス川が現在その源流を有する地域のどこかを指し示しています。それで,アンカー・バイブル(1964年)は,創世記 2章10節に関する注解の中で,「ヘブライ語では,河口は『終端』と呼ばれる。(ヨシュ 15:5,18:19)したがって,ローシュつまり『頭』の複数形はここでは上流を指しているに違いない。……この後者の用法は,同じ語源を有するアッカド語のレーシュについても裏付けられている」と述べています。ユーフラテス川とチグリス川が現在一つの源から出ていないこと,およびピション川とギホン川に当たるものを確定できないことは,恐らくノアの洪水の影響によるものとして説明できるでしょう。その洪水によって,ある川の通り道は埋まり,他の川が造り出されるなど,地形に大きな変化が生じたに違いありません。
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金(きん)聖書に対する洞察,第1巻
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金
(きん)(Gold)
聖書の中で最初に,また最も頻繁に言及されている金属。(創 2:11)金は最初からその重さ,希少性,いつまでもあせない光沢,きらめく美しさ,延性,また展性のゆえに高く評価されてきた貴金属です。ヘブライ語では金を指す語が幾つかあり,その中にはザーハーヴ(出 25:11),ハールーツ(ゼカ 9:3),ケテム(詩 45:9),パズ(『精錬された金』; 詩 19:10),セゴール(「純金」; ヨブ 28:15),オーフィール(「オフィルの金」; ヨブ 22:24)などがあります。クリスチャン・ギリシャ語聖書のクリュソスやクリュシオンというギリシャ語は,硬貨,装飾品,およびこの金属全般に関連して使用されており,隠喩的な意味でも用いられています。―マタ 10:9; ペテ一 3:3; マタ 2:11; コリ一 3:12。
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ハビラ聖書に対する洞察,第2巻
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1. エデンから発していた川の4本の分流の一つであるピションが『巡っていた』地。さらに,その地は良質の金,ブデリウム樹脂,およびしまめのうが採れる地であることが明らかにされています。(創 2:10-12)ピション川はもはや同定できないので,ハビラの地のあった場所は依然定かではありません。(「ピション」を参照。)その資源に関する描写は一部の人々から概してアラビア的であるとみなされており,その地をアラビアのある地域と関連づけている人もいます。J・シモンズは,聖書が「ハビラの全土」に言及していることを基にして,「ハビラ」という語がアラビア半島全体を包含しているのではないだろうかとしています。もっとも,ピション川がそのような地域をどのようにして『巡り』得たかを知るのは困難なことです。―「旧約聖書の地理・地形学的テキスト」,ライデン,1959年,40,41ページ。
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